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揃わないものを、整える。

執筆者の写真: かたやん
かたやん
9月26日
読了時間: 4分

あるお客様から、

「冠婚葬祭に使える夜光貝のネックレスを作れませんか」

そんなご相談をいただいたことがありました。


真珠のネックレスのように、きちんとした場で身につけられるもの。

でも素材は、屋久島の夜光貝で。

言葉にすると簡単ですが、実際に手をつけてみると、

まったく簡単ではありませんでした。。


まず見たかったのは、今のネックレスではなく、昔の仕事でした。

知り合いの方が持っていた、本物の真珠のネックレスをお借りしました。

いわゆる昭和の時代のものです。


珠と珠の間に糸を結ぶ、ノット結び。

もちろん技法として知ることはできます。

でも、自分が見たかったのは「結び方」だけではありません。


珠の並び

間隔

全体の落ち方

一連になった時の佇まい


古いネックレスを実際に手にしてみると、細かなところに、昔の職人仕事が残っていまた。

そして、もう一つ大きなことに気づきました。

真珠は、たくさんの珠の中から選ぶことができます。


色

照り

大きさ

そして、木目のように見える表情


大量の珠から近いものを選び、揃えて一本にしていく。

ところが夜光貝は、そうはいきません。

限られた素材から削り出した珠しかありません。。


「この色が欲しい」

「この木目だけ欲しい」


そう思っても、同じものは二つとありません。

揃えようとしても、揃わない。

そこでやったのは、選別というより、並べ替えでした。

一本のネックレスとして見た時に、どの珠をどこに置けば流れが生まれるのか。


隣同士の色

模様

光り方


一粒ずつ動かしては眺め、また動かす。

完全に同じものへ揃えるのではなく、

違うもの同士を、一本の中で整えていく。

今になって思えば、これもBeautiful Chaosだったのだと思います。


自然素材は、最初から揃っていません。

むしろ揃っていないことが、その素材そのものです。

その中から、無理に均一なものを作るのではなく、

あるものを見ながら、全体を整える。


自分が昔からやってきたことは、たぶんこれだったのでしょう。

ノット結びについても、簡単にはいきませんでした。

本場と呼ばれるところにも何件も問い合わせました。


鳥羽

宇和島


真珠の産地として誰もが知る場所です。

けれど、一見の仕事や、夜光貝という特殊な素材での依頼は簡単には受けてもらえませんでした。

正直、門前払いに近いこともありました。

それでも、この仕事はお客様からいただいた注文でした。

簡単に「できませんでした」で終わらせる気にはなれませんでした。

調べて、問い合わせて、また断られて。

それでも探しました。

最終的には、自分自身で昔のネックレスを見ながら構造を理解し、夜光貝の珠で一本に仕上げてくれる網み師さんを探せました。


完成までにかかった時間と手間を考えると、

正直、もう一度同じ注文を受けたいかと聞かれれば、少し考えます(笑)。

それくらい大変でした。

でも、完成した一本を見た時、


「これは残しておきたい」


そう思いました。

売れる、売れない。

効率がいい、悪い。

そういう話とは少し違います。


昔の真珠の職人仕事を見て、

夜光貝という素材に置き換え、

限られた珠の中から一本の流れを作った。

それ自体を、形として残しておきたい。


そして今なら、この仕事を全部自分一人で抱える必要もないと思っています。

結びを仕事にしてきた人。

素材を見る人。

仕立てる人。

それぞれの仕事を繋ぎながら、自分は最後に「整える」。

そんな残し方もあるのかもしれません。


halenohiには、贈り物という側面があります。

誰かへ贈るもの。

自分の節目に選ぶもの。


けれど、もう一つ。

職人から次の時代へ渡していくもの。

そんな意味での「贈り物」もあるのではないかと、最近思うようになりました。


夜光貝の冠婚葬祭用ネックレス。

長い間、棚の奥に置いたままでした。

でも、そろそろもう一度、光の当たる場所へ出してもいいのかもしれません。


揃わないものを整える


あの時やっていたことは、

今のhonuにも、halenohiにも、ずっと続いています。

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