手で作る文字

9月28日
読了時間: 2分


レーザーは持っています。
CNCもあります。
それでも、屋久杉は今も糸鋸盤で切っています。
正確に、同じ形を繰り返すなら、機械の方が早い。
でも、名前やデザインに合わせて、少し太らせたり、少し逃がしたり、ほんの少し崩したりするとなると、手の方が自由です。
Illustratorのデータを何度も修正するより、木を見ながら、その場で刃を動かした方が自然に収まることがあります。
今回ご依頼いただいたのは、東京藝術大学に現役合格された息子さんとお母様から。
Tuba、Piano、Soprano、Trombone。
それぞれの音楽家のもとへ渡る文字を、ひとつずつ切り出しました。
このネーム入れは、もう20年ほど続けています。
その間にレーザー加工は当たり前になり、糸鋸盤で文字を切る人はずいぶん少なくなりました。
便利な技術が広がったことで、逆に手で切る仕事の自由さが、以前よりはっきり見えるようになった気がします。
夜光貝の彫りも同じです。
CNCを持っていても、面取りの自然なカーブや、リューターを少し傾けてえぐる立体感は、手で削る方がしっくりきます。
いつか機械でも同じことができるようになるのでしょう。
ただ、その時に必要なのは、機械そのものではなく、
なぜ、そこを削るのか
なぜ、その角度なのか
それを知っている人なのだと思います。
完成したものには「香り」があります。
でも、その手前には、木粉や切削音や、削りすぎた失敗や、何度もやり直した時間があります。
少しリアルな世界です。
その匂いを通って、ようやく香りになる。
最近、そんなことをよく考えます。
匂いを香りに昇華させる。
ビューティフルカオス♪





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